【投資手法紹介】 オニールの成長株発掘法  ウィリアム・J・オニール 〜パート2〜

 

今回の記事では「CAN SLIM」の条件について詳しく解説していきます。

前回のおさらいですが、「オニールの成長株発掘法」では、チャートの形から選別した銘柄から、投資すべき成長株の特徴を「CAN SLIM」という略語でまとめています。

 

その条件は下のとおりです。

C:Current Quarterly Earnings・・・四半期の売上とEPSの増加率は十分か

A:Annual Earnings Growth・・・過去3年間の売上とEPSの増加率は十分か

N:New Company/Product・・・革新的な製品またはサービスを提供しているか

S:Supply and Demand・・・需給関係は良いか

L:Leader or Laggard・・・市場先導株であるか

I:Institutional Ownership・・・有力な機関投資家が株主になっているか

M:Market Direction・・・一歩下がって相場全体として今は投資に適したタイミングか

 

それでは、それぞれの頭文字が意味するところをひとつずつ見ていきたいと思います。

 

Current earnings(当期利益が良いか?)

これは、該当銘柄の当期四半期のEPS(1株当たり利益)と売り上げが良いかということです。

注意したいのは前年同期比で比較することです。間違っても直近の四半期の決算と比較してはいけません。

なぜなら業種・業態によって四季の売上は変わることは往々にして起こるためです。

例えばゼネコン系の銘柄について、冬は売上が高い傾向にありますが、夏は縮小してしまいます。

また、サントリーなどの飲料メーカーは逆に夏の売上は高く、冬は縮小することが知られています。

 

 

 

Annual earnings(通年の利益が良いか?)

株を買う場合は、過去3年連続で大幅にEPSが増加し、さらに最近の四半期でもEPSに力強い向上が見られる銘柄に絞ることが大切です。

どんな株でも一時的に良い決算を出すことはあります。しかし、数年にも渡り良い決算をだし続けるというのは生半可な企業にできることではありません。

グロース投資はモメンタム(勢い)がある銘柄に投資すると言い換えることもできます。

オニールは過去3年のEPS、当四半期のEPSの上昇の両者揃って初めて投資するに値する企業だ。というアドバイスをしています。

 

New product or service (新製品・新サービスを出しているか?)

株価が驚くような上昇を見せるには何らかの新しいものが必要です。具体的には下記のような新しいものがあるといいいでしょう。

・新興企業

・新製品

・新サービス

・新経営陣

・正しいベースを抜けて新高値

 

わかりやすい例としてAPPLE社はiPhoneという革新的な製品によって、現在は世界No.1の時価総額を獲得しました。

また、「新高値」については日本人の感覚では「割高すぎる」と敬遠する人が多いです。

しかし、オニールが解説している正しいベースで新高値を取ることはむしろ買いの好機であり、株式購入の重要なポイントの一つとされています。

 

Supply and demand (その銘柄の需給関係が良いか?)

 

日常的な商品の価格は、ほとんど全て需要と供給のバランスによって決められています。

スーパーに行って野菜コーナーに並んでいるレタスやトマト、牛肉やチーズにつけられる値段はその製品を入手できる量と、その製品を欲しがる人の数によって変わります。

コロナで一時期トイレットペーパーやマスクが高騰したことは供給に対して需要が多すぎたことが原因としてあげられます。

 

株の取引も同じで、売りたい・買いたい人の数によって株価は変動します。

今後株価が上がるかについて考えると、オニールは発行済株式数が小さく値動きが出やすい銘柄のほうが値上がりは期待できると述べています。

逆に言うとこのような中小株などは値上がり幅も大きくなりますが、同時に値下がり幅も大きくなることには注意しなければなりません。

 

また、過度の株式分割をしていて株価が薄まると天井を打つ傾向にあると述べています。

 

Leader or laggard? (その銘柄が相場の先導役か?それとも出遅れか?)

 

ここでは出遅れ銘柄を買ってはいけない。買うべきは市場を先導しているその業種で1〜3番目に強い銘柄ということです。

基本的にはトレンドが始まると市場を先導している銘柄がまっさきに上がり、それにつられて共振株が上がってくるというパターンがあります。

例でいうとeコマース銘柄であればアマゾン(AMZN)やショッピファイ(SHOP)が市場を牽引して、それ以外の買い物サイトや関連する株が少しずつ上がってきます。

 

すでに先導銘柄は高いと思い共振株を買うのではなく、強い銘柄を迷わず購入することが大切だとオニールは述べています。

ただし、マーケットの調整局面では成長株は大きく調整しやすいです。(15〜25%) これは市場全体が10%調整したら、成長株は15〜25%調整するということです。

その際は持ち株を売って、新たな手動銘柄を探すタイミングです。

 

Institutional sponsorship (機関投資家に好まれているか?)

 

理想的な銘柄とは2〜3割の株を機関投資家やファンドが持っていると良いです。

これは証券のプロである人たちが有望な銘柄という分析をしているという判断ができます。

 

逆に7〜8割の株を機関投資家がもっている場合、それはいい兆候とは言えません。

なぜなら、その後の大規模な資金流入が見込めないためです。

 

また、機関投資家が保有している株は市場の流動性を意味します。

どういうことかというと、あなたが株を売ろうとしたときに、彼らが買い支えとなり売りやすくなるのです。

逆に機関投資家が買わない株というのは下落相場でなかなか買い手がつかないことがあります。

 

Market (一歩さがって相場全体の地合いは良いか?)

 

今回紹介しているグロース投資を行う上で、マーケット全体の方向性を見極めることはとても大切です。

相場全体がブル相場(上昇相場)であれば勝率は高くなります。

見分け方としては毎日の主要株価のチェックです。

日本であれば日経平均225やTOPIX500、マザーズなど。アメリカであればダウ30やS&P500、ナスダックなどをチェックし、大きな暴落があったら指値注文ではなく成行注文ですぐに撤退(損切り)すべきと、オニールは言っています。

 

さらに相場の下落への注意を強調していきます。

いったんポートフォリオで33%の下落を伴った場合、トントンまで戻すには50%の利益が必要になるわけです。

〜33%の下落を取り戻すには50%の上昇が必要〜

 

100万円

↓〈33%の暴落〉

66万円

〈50%の上昇〉

100万円

 

例を出して説明すると100万円のポートフォリオが33%下落した場合、66万円になります。

そこから100万円のポートフォリオに戻す場合、66万円の50%の利益である33万円の利益を出さないとトントンまでは戻せないのです。

 

投資家にとって50%の利益を出すのがどれだけ大変かおわかりだと思います。

目先の損切りを悩むのではなく、きっぱりと損切りすることが大切なのです。

 

 

最初から賢くあるべき

 

オニールはCAN SLIM以外にも投資の戦略についていくつか言及しています。

次回以降その内容を取り上げていきます。

 

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