パート1で債券の魅力について説明しました。
では実際にどんな債券に投資すればいいでしょうか?
ここではいくつかの例をあげていきます。
1.米国債に投資する
■銘柄名:iShares 7-10 Year Treasury Bond ETF ティッカー:IEF
時価総額(2020/9/13):200億ドル
過去 12 ヶ月分配金利回り(2020/9/13 時点):0,57% デュレーション(2020/9/13 時点):7.77 年
経費率:0.15%
累積リターン:1 年 12.61%、5 年 27.55%、10 年 56.58%(2020/9/13 時点)
IEFは米国債のうち残存 7 年から 10 年のものだけ購入したものです。7 年以下になる債券は売られます。通常であれば債券投資は徐々にデュレーションが短くなってしまいますが、こちらは短くなれば売却し、新たな銘柄を追加で購入していきます。米国債の中でもさらに年限を絞ったタイプです。
https://www.blackrock.com/jp/individual/ja/products/239456/ishares-7-10-year-treasury-bond-etf
2.新興国国債に投資する
■銘柄名:iShares J.P. Morgan USD Emerging Market Bond ETF ティッカー:EMB
時価総額(2020/9/13 時点):167 億ドル
12ヶ月分配金利回り(2020/9/13 時点):4.18% デュレーション(2020/9/13 時点):8.65 年
経費率:0.39%
累積リターン:1 年:0.56%、5 年 26.63%、10 年 69.20%
新興国は総じて利回りが高いですが、一方で為替変動が大きく為替差損でやられてしまう可能性があります。このような新興国の為替リスクを避けて高い利回りを追及することは不可能なのでしょうか。
それを可能にするのが EMB です。多くの新興国は自国通貨建てだけでなくドル建てでも国債を発行しています。
投資家からみれば新興国の為替リスクがなくなるため、売れ行きが良くなります。これは発行体からすると 資金調達が多く出来るメリットがあります。また、ドル建てで発行した方が利払いを少なく出来ます。
3.投資適格級社債に投資する
■銘柄名:iShares iBoxx $ Investment Grade Corporate Bond ETF ティッカー:LQD
時価総額(2020/9/13 時点):566 億ドル
12ヶ月分分配金利回り(2020/9/13 時点):2.11% デュレーション(2020/1/16 時点):9.61 年
経費率:0.14%
累積リターン:1 年:11.04%、5 年 36.25%、10 年 78.45%
通常、国家よりも信用力のある企業は存在しないので、国債よりも社債の方が信用力は劣ります。そのため、リスクを取った報酬として利回りは高くなります。(クレジットリスクプレミアム)
上位保有発行体は下記の通りです(2020/9/13 時点)
JPMorgan Chase
Bank of America
AT&T
Comcast Corporation
Wells Fargo
Citi Group
Morgan Stanley
Goldman Sachs
Apple
Verizon
4.投資不適格級社債
■銘柄名:iShares iBoxx $ High Yield Corporate Bond ETF ティッカー:HYG
時価総額(2020/9/13 時点):303 億ドル
12ヶ月分分配金利回り(2020/9/13 時点):4.99% デュレーション(2020/9/13 時点):3.41年
経費率:0.49%
累積リターン:1 年:-1.62%、5 年 19.43%、10 年 72.45%
格付が低く投資適格級ではないものは、当然信用リスクが大きくなるので利回りがさらに求められます。しかし同時に倒産確率が上がっているため、銘柄の分散を図ります。
またデュレーションを見ると分かりますが、投資適格級と比べて 3 分の 1 以下の 3.41 年となっています。信用リスクを取った分、デュレーションリスクを抑えているのです。一般に BBB 格以下のクラスでは 3 年より⻑く投資することはありません。
また不適格という言葉はあまりマーケティング的によくないため、ハイイールドという名称が一般的です。
https://www.blackrock.com/jp/individual/ja/products/239565/ishares-iboxx-high-yield-corporate-bond-etf
5.劣後債
■銘柄名:iShares U.S. Preferred Stock ETF
ティッカー:PFF
時価総額(2020/9/13 時点):167 億ドル
12ヶ月分分配金利回り(2020/9/13 時点):5.39% 経費率:0.46%
累積リターン:1 年:-1.23%、5 年 16.62%、10 年 70.28%
最後に紹介するのは劣後債に投資する ETF です。こちらは普通社債よりも弁済順位が低いため、一般的な社債と比較して高い利回りが期待できます。
資産分類は株式となっていますが、これは劣後債が株式と債券の間の存在として位置づけられているためです。
ドローダウン(下落幅)が他の債券ETF よりも大きいことに注意して下さい。
https://www.blackrock.com/jp/individual/ja/products/239826/ishares-us-preferred-stock-etf
これまで見てきた代表的な資産クラスの利回り推移は下記の通りです。ブラックロック社が作成したもので12ヶ月ローリング利回りを示しています。
各アセットクラスのおおよその利回りの世界観を掴んで下さい。