今回は市場平均のリターンベータではなく、市場超過リターンアルファを目指すための説明をします。
テーマは市場超過アルファの部分をもう少し掘り下げ、インデックス投資をアクティブのように運用することです。
つまり能動的に収益を得るための考え方になります。
- アクティブインデックスを作る上で〜まずはじめに大事なこと〜
1.大きな変動をとらえる
まず失敗しない投資とは、前提として「何年かに1回くる大きな相場変動の時に、それを把握し適切な投資行動を行うことができること」と言い換えることが出来るでしょう。
例えば リーマンショックの時に損しなかった人は今でも生き残っていますし、アベノミクスの時に株を買っていた人は利益を得ています。
逆に変動が激しい時期に普通にレバレッジをかけて売買していたら、それだけで退場してしまうようなリスクを負います。
つまり大事なのは日々の小さな変動を追うのではなく、大きな変動をすべて捉えるということになります。
2.相場を見る必要がない
相場の大きな変動を捉えることができると、常に相場を見る必要がなく、チャートの動きにいちいち振り回される必要がなくなります。
チャートや相場にかじりつく必要がないので、神経がすり減らないです。
3.簡単に実践できる
定性的な実践なので、だれにでも実行できます。
特殊な技能や経験が必要ないという意味ではとても重要です。
- アクティブインデックスを作る上で〜前提知識〜
1 投資において何が重要か
株式投資をするときにまず何を確認するでしょうか。
皆さん少し考えてみましょう。
資産額・・・
情報・・・
投資をする上でのマインドセット・・・
など様々でしょう。
その中でも特に重要なのは業績や財務内容、株価チャートなどがありますが、最も重要なことは「景気がこれからどうなるか」です。
株価は企業業績で決まるため、景気が非常に重要になります。
逆に言えば景気を見られない状態で機動的な売買をしてはいけないということです。
2 エコノミストはあてにならない
エコノミストと呼ばれる景気を見る人がいます。
アナリストとも呼ばれますが、その人たちを無条件に信用するのは危険です。
エコノミストでリーマンショックやアベノミクス後の景気上昇を予測できた人はごくわずかです。
基本的にエコノミストは「現状のチャートの動き方が続く」としか言いません。
チャートが上昇気味であれば今後も上昇すると言いますし、下降気味であれば下降するといいます。
つまり、エコノミストとは「現状の説明が上手な人」のことです。
先のことを予測するためにエコノミストは当てにならないことが分かりましたが、その場合どうすればいいのでしょうか。
結論としては景気の先行指数を見ます。
3 景気先行指標とは
景気先行指標とは景気の動きを先取りする指標のことです。
以下代表的な景気先行指標です。
・景気ウォッチャー調査
・新規求人数
・新設住宅着工床面積
・消費者態度指数
・日経商品指数
・東証株価指数
このような指標には東証株価指数や新規求人数といった企業の求人数が増えているか、そうでないかで今後の景気を判断する指標もありますが、
今回特に取り上げる指標は「景気ウォッチャー調査」になります。
4 景気ウォッチャー調査を選ぶ理由
景気ウォッチャー調査は株価の波におおよそヒットします。
景気のサイクルと株価のサイクルは若干ずれています。
株価のほうが動きは早いので、景気のサイクルに合わせて株価の売買を行っていると遅れてしまいます。
例えば、1989年の12月末にバブルが崩壊しましたが、この時が株価の高値でした。
ここから株価は下がっていき、景気が悪いと意識し始めたのは1992年から3年間になります。
このへんになると指標がほとんどダメになっており失業率が上がったり、新規住宅建築着工件数が落ちてきたりと目に見えてわかるようになります。
つまり、少し遅れて景気の波が来るので株価の波に合わせていかないと意味がありません。
景気だけでなく株式相場に対しても先行性を持っているという点で、景気ウォッチャー調査は株式市場の売買に参考になる特別な景気先行指標と言えます。
まとめると景気は株価より動きが遅くなるため、普通の景気の指標では株価の変動スピードに追いつけません。
しかしその中で唯一、株価の変動スピードに近い指数が景気ウォッチャー指数ということになります。
- 景気ウォッチャー調査について
株価の動きを予測するための景気ウォッチャー調査についてもう少し深堀りします。
1.景気ウォッチャー調査の概要
2.どのような人が調査員なのか
3.調査の優位性
順番に説明していきます。
1.景気ウォッチャー調査の概要
景気ウォッチャー調査は2000年1月に調査が始まった比較的歴史の浅い内閣府の経済統計になります。
どういった調査かというと5段階評価で景況感を評価し、DIを算出したものです。
DI とは「景気動向の方向性を示す指数・・・業績判断指数」のことです。
各経済部門について各指数の数値が上昇、もしくは低下しているのか調べ、景気がどれくらい波及しているかを把握するためのものです。
評価と算出方法としては
・景気が良い場合は+1
・少し良い場合は+0.75
・普通の場合は+0.5
・少し悪い場合は+0.25
・悪い場合は0
といった具合になります。
この時に2種類の DI が発表されます。
- 景気の現状を示す「現状判断 DI」
- 2〜3か月先の見通しを示す「先行き判断 DI」
以上2点です。
調査方法としては約2千人の人々を対象として、定期的に景気についてどう感じているかをアンケートで尋ねます。
こちらを「景況感調査」の一種です。
調査結果は景況感を数字で示した DI だけではなくコメントも併せて公表されます。
こちらはサンプルの表となります。
同じような景気指数は以下のようなものがあります。
・日銀短観 (日銀)
・消費動向調査 (内閣府)
・中小企業景況調査 (日本政策金融公庫)
2.景気ウォッチャー調査はどのような人が調査員なのか
こちらは業種ごとに調査員の人数が割り当てられており、主要都市ごとに具体的に職場を選びます。
この職場の中から景気ウォッチャーになってくれる人を選びます。
しかし、毎回調査員が変わると調査の連続性が保てないため一度選ばれると毎回回答することが求められ、継続して調査の協力をすることになります。
そのため任期は決まっておりません。
そのため、意欲的に参加してくれる人が調査員になるため、回答率は毎回90%程度と極めて高くなっています。
また実際の調査員というのは
・百貨店やコンビニの販売担当者
・中小企業の経営者
・タクシーの運転手
・ハローワーク職員
などビジネスの現場で働いている様々な人たちです。
景気ウォッチャー調査は、ビジネスの最前線で顧客や取引先の動きから売上の変化を察知し、調査結果に反映させます。
約2050人前後が景気ウォッチャーに選ばれて回答しています。
3調査の優位性
この調査のいいところは調査が毎月発表され、締日から公表日までの期間が短いことです。
本来、企業の決算の発表は四半期に1回です。
一方、こちらの調査の場合、月末で締めて翌月の第6営業日に発表されますのでとても早いです。
速報性の高さが景気ウォッチャー指数の最も大きいメリットです。
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