前回の記事に続いてスマートベータについて解説しています。
前回はαとβについて簡単におさらいしましたが、もう少し深い内容に突っ込んでいきます。
- 〜既存のindexへの批評〜
既存のインデックスには次の3つの問題(デメリット)があります。
1大型株への集中
2割高な指数
3相関の見落とし
順番に解説していきます。
- 大型株への集中について
時価総額加重平均型インデックスでは指数の構成ウェイトに占める上位銘柄の割合が高くなってしまいます。
逆に言えば構成銘柄のうち、最も小さな銘柄への投資配分が極端に小さくなってしまいます。
有効構成銘柄数 ENC(Effective Number of Constituents)で見てみましょう。
有効構成銘柄数とは、「ある指数の採用銘柄のうち。何銘柄を保有すればその指数と実質的にほぼ同じ分散効果が得られるのか示す指数」です。
国内外の ENC比較が下の表となります。
アメリカの S&P500が ENC比率30%に比べ、日本のTOPIXはENC比率7%と極端に低いことがわかります。
- 割高な指数の問題について
時間総額加重平均型のような集中化した指数の場合には、誤っている株価変動があると成績が悪化します。
株価が上昇し構成ウェイトが上がった銘柄に多く投資するため、何らかの理由により割高になってしまうとパフォーマンスを上げるのが困難になってしまいます。
カリフォルニア大学のリチャード教授は1992年の論文で日米英独豪など5カ国において格安株のポートフォリオがそれぞれアウトパフォーム※することを指摘しています。
言い換えると、時価総額加重平均型は総体的に割高であることを示しています。
※アウトパフォーム ・・・ベンチマークに対して、ある指数もしくは銘柄の一定期間の収益率が上回ること
3.相関の見落としについて
時価総額加重平均型では構成銘柄の値動きが相互にどのように関係しているのかは無視しています。
運動性の低い銘柄を組み合わせればリスクは下がり、運動性の高い銘柄を組み合わせればリスクは上がります。
つまり通常のインデックスから相関をきちんと考慮することで改善の余地があります。
既存のindexの問題をまとめると
1大型株への集中
2割高な指数
3相関の見落とし
以上になります。